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なんでも四捨五入で考える女 【サムのこと 猿に会う】 [書籍にドロップキック!!]


サムのこと 猿に会う (小学館文庫)

サムのこと 猿に会う (小学館文庫)

  • 作者: 加奈子, 西
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2020/03/06
  • メディア: 文庫

■ヒトコト感想
西加奈子の短編集。それぞれの短編は、個性的な二十代の男女が主人公となっている。「サムのこと」は、仲間であったサムが突然事故死し、その通夜に向かう4人の男女の会話を描いている。仲間の葬式に向かう悲しみよりも、個々のキャラクターの個性に圧倒されてしまう。どこか昔風であり、まっとうな社会人ではない雰囲気を醸し出している若者たちだ。

悲しみに暮れるのではなく、サムの思い出話に花を咲かす。サムの本名はサムとあだ名がつく名前ではない。サムの兄のあだ名を弟のサムが自分のことをサムと呼んでくれと言ったらしい。サムもちょっと特殊だが、周りの仲間たちもより特殊だ。なんとも言えないけだるい雰囲気の漂う短編だ。

■ストーリー
そぼ降る雨のなか、様々なことが定まらない二十代男女5人が、突然の死を迎えた仲間の通夜に向かうところから始まる『サムのこと』。二十代半ばの、少し端っこを生きている仲良し女子3人組が温泉旅行で、「あるもの」に辿り着くまでを描いた『猿に会う』。小説家志望の野球部の友人と、なぜか太宰治の生家を訪ねることになった高校生男子が、そのまま足を伸ばした竜飛岬で、静かに佇む女性に出会う『泣く女』。

人生の踊り場のようなふとした隙間に訪れる、「何かが動く」瞬間を捉えた初期3作を新たに編んだ短編集。






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