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世間の作家への弾圧を揶揄するような作品 【日没】 [書籍にドロップキック!!]


日没

日没

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: 単行本

■ヒトコト感想
桐野夏生の長編。まるで作家としての自分の不満を訴えたような作品だ。小説家マッツ夢井は「文化文芸倫理向上委員会」通称ブンリンに出頭命令を受け、そのまま海辺の療養所に軟禁されてしまう。小説作品の中で好ましくない記述があったからという理由で不自然な軟禁生活を余儀なくされるマッツ夢井。一度入ると他者と話をすることすら制限され、粗末な食事を与えられ、最後には薬漬けにされてしまう。

恐ろしいのは対外的には精神に異常をきたした、という理由さえあれば処置入院として処理されてしまうことだ。ブンリンの療養所での地獄のような生活からマッツ夢井は抜け出せるのか。読者としてはラストで今までのうっぷんを晴らすように、施設の担当者たちに復讐するマッツ夢井を想像していたのだが…。衝撃的なラストだ。

■ストーリー
あなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか。小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末は―。






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