人の心の奥底をのぞくミステリー【ユージニア】 [書籍にドロップキック!!]
■ヒトコト感想
大量毒殺事件が発生し、その生き残りであった少女が後に事件の小説を書く。その小説がベースとなり、真犯人を探るべく物語は進んでいく。様々な人の言葉から事件の真相が見えていくパターンはQ&Aとまったく同じだ。Q&Aが奇妙な事故だったのに比べ、本作は明確な殺人事件として成立しており、さらには真犯人がいるという流れとなっている。Q&Aよりもミステリー色が強く、さらには人々の証言からジワジワと真実が見え、事件のトリックも明かされてくる。特別な仕掛けというよりも、人の心の奥底を覗くような感覚と、不明確な動機をはっきりさせようとする雰囲気。「ユージニア」という謎の言葉の意味も含め、ラストにはしっかりと真実が語られている。このパターンは知らず知らずのうちにのめりこんでしまう。
■ストーリー
「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ―。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を?見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか?
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