ジャンル無用の短編集【朝日のようにさわやかに】 [書籍にドロップキック!!]
■ヒトコト感想
短編集だが特にテーマは決まっていない。ジャンル関係なく、作者の短編を寄せ集めたような感じだ。そのため、長さもまちまちなら、雰囲気もまったく異なる作品がある。全14編と数は多いが、数ページで終わる作品もあれば、長い作品もある。そんな本作の中で最も印象に残っているのは「水晶の夜、翡翠の朝」だ。麦の海に沈む果実のキャラクターがメインとなっており、つい最近それに関連した黄昏の百合の骨という作品を読んだので印象に残っている。ただ、面白いからというのではなく、なじみのあるキャラクターが登場したからだった。強烈なインパクトを残すものはなく、サラリと読める短編集なので、全体として薄い印象しか残らない。
■ストーリー
葬式帰りの中年男女四人が、居酒屋で何やら話し込んでいる。彼らは高校時代、文芸部のメンバーだった。同じ文芸部員が亡くなり、四人宛てに彼の小説原稿が遺されたからだ。しかしなぜ…(「楽園を追われて」)。ある共通イメージが連鎖して、意識の底に眠る謎めいた記憶を呼び覚ます奇妙な味わいの表題作など全14編。ジャンルを超越した色とりどりの物語世界を堪能できる秀逸な短編集。
コメント 0