フィリピンのアングラな世界【取引】 [書籍にドロップキック!!]
■ヒトコト感想
ことの発端は談合事件の調査ということになっている。公取の調査員である伊田が談合関係での複雑怪奇な談合システムを暴くのかと思いきや、物語はフィリピンで発生した誘拐事件へとシフトしていく。タイトルと最初の雰囲気からして、机上での知能戦が繰り広げられるかと思った。しかし、流れは予想外にアクション要素の強いものとなっている。フィリピンでの激しい攻防。ただの営利誘拐ではなく、子供の売買にまで関わるディープな世界が描かれている。まるでアクション映画を見ているような激しい場面展開と、二転三転する真犯人。冒頭で受けた印象からずいぶんとかけ離れたものになってはいるが、これはこれで面白い。フィリピンの当時の社会情勢と、壮絶な世界を感じることができる作品だ。
■ストーリー
公正取引委員会の審査官伊田は汚職の嫌疑をかけられた。何者かの策略に嵌(はま)り事件に巻き込まれたのだ。ある所からの誘いによって彼はフィリピンへ行くことになる……。ODA(政府開発援助)プロジェクトに関する談合事件をマニラで調査する伊田の身に危険が迫る!
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