人の死を身近に感じる場所【峠うどん物語 上】 [書籍にドロップキック!!]
■ヒトコト感想
火葬場の近くに店をかまえる「峠うどん」。そこで手伝いをする中学生のよっちゃん。よっちゃんの目を通して、火葬場にまつわる人々のエピソードが語られている。ありきたりなお涙頂戴物語ではない。火葬場の近くだからといって、葬式のしんみりとした悲しみばかりではない。悲しみを空元気でごまかしたり、過去の思い出の人との出会いを回想したり、最後になにをすべきか考えたり。人が死んで悲しむだけではない。残された人の人生観だとか、周りの人の思いというのを、単純に描くのではなく、少し遠回りする感じて描いている。そのため、単純なストーリーを予想していると、意外な展開に驚かされてしまうかもしれない。
■ストーリー
中学二年生のよっちゃんは、祖父母が営むうどん屋『峠うどん』を手伝っていた。『峠うどん』のお手伝いが、わたしは好きだ。どこが。どんなふうに。自分でも知りたいから、こんなに必死に、汗だくになってバス停まで走っているのだ。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん。そして『峠うどん』の暖簾をくぐるたくさんの人たちが教えてくれる、命についてのこと―。
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