SSブログ

妻帯者には恐怖でしかない【赤い長靴】 [書籍にドロップキック!!]

赤い長靴 (文春文庫)

赤い長靴 (文春文庫)

  • 作者: 江國 香織
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/03/07
  • メディア: 文庫

 

■ヒトコト感想
結婚して10年目、子なしの夫婦の物語。経済的にも恵まれた環境で、何不自由なく暮らす二人。基本は妻である日和子目線での物語りなのだが、これが思わぬ恐ろしさをかもし出している。内容は平和でほのぼのとしたモノのはずが、恐ろしい。それは、恐らく妻帯者だけが感じる恐怖だろう。夫のことを愛してはいるが、気に入らない部分が多々ある妻。それは日々の生活の中で、些細なことかもしれないが、積み重なった不満がいつ爆発するのかという恐怖がつきまとう。日和子の問いかけに生返事をしたり、一度に二つの質問をするのは厳禁だったり、服を脱ぎっぱなしにしたり。些細なことにイラつく日和子の心情描写を読んでいると、自分の妻も、もしかして…と思ってしまう。

■ストーリー

「私と別れても、逍ちゃんはきっと大丈夫ね」そう言って日和子は笑う、くすくすと。笑うことと泣くことは似ているから。結婚して十年、子供はいない。繊細で透明な文体が切り取る夫婦の情景―幸福と呼びたいような静かな日常、ふいによぎる影。何かが起こる予感をはらみつつ、かぎりなく美しく、少し怖い十四の物語が展開する。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0