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時制のない言語で生活する人々 【明日の約束】 [書籍にドロップキック!!]


明日の約束 (文春文庫)

明日の約束 (文春文庫)

  • 作者: 辻 仁成
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫

■ヒトコト感想
不思議な雰囲気の短編集。強烈なインパクトがあるのは表題作でもある「明日の約束」だ。ゲリラに襲われ逃げ続け、たどりついたのは文明が入り込んでいない村だった。そこでは独自の言葉が発展しているのだが、時制を表す言葉がない。常にその日を生きる村人たちには、言葉としての過去や未来はいらない。

ここで戸惑いながらも生活する医者の困惑が描かれている。強烈なのは、文明が入り込んでいない生活に医者が慣れていく部分だ。最終的にはその生活を心地良いと思い始める。そのほかにも、あとがき代わりに描かれた男女のすれ違う物語「世界で一番遠くに見えるもの」がある。独特な雰囲気で辻仁成らしい作品と言えばそうだろうが、あまり印象には残らない。

■ストーリー
別れ話を秘めた女と、プロポーズしようとする男。二人の夜は…。愛とはこんなにも、もろいものだったのか?恋の記憶が感傷に、出会いの輝きが紫煙にかすむ時、二人は再び互いの瞳を見つめ合う。愛のあやうさ、はかなさ、残酷さをそっと明かしつつ、その再生の奇跡を華麗に、力強く謳い上げた珠玉の傑作短篇集。






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