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 貴族たちのパーティで起こる凄惨な事件【薔薇のなかの蛇】 [書籍にドロップキック!!]


薔薇のなかの蛇

薔薇のなかの蛇

  • 作者: 恩田陸
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/05/25
  • メディア: Kindle版

■ヒトコト感想
古い洋館で首と胴体が切断された惨殺遺体が見つかる。貴族レミントン一家の長兄アーサー、次兄ディヴが主人公の本作。父親のパーティに参加する者たちの中で、事件の関係者はいるのか。方々から恨みを買う父親。息子たちも良く思っていない。一族に伝わる秘宝を披露したあとに、悲劇が訪れる。

何が起きているのかわからない状態で、物語はすすんでいく。犬が爆発し、その爆破に人間が巻き込まれた痕跡がある。その爆発に父親が巻き込まれたのか。。。父親が行方不明となり、事態は混沌としてくる。ミステリの要素は強いが、それよりも物語全体の雰囲気がおそろしい。アリスの友達であるリゼが何かしらカギを握っていると思わせる流れ。凄惨な遺体が登場してくると、それだけでインパクトがあるのは間違いない。

■ストーリー
英国へ留学中のリセ・ミズノは、友人のアリスから「ブラックローズハウス」と呼ばれる薔薇をかたどった館のパーティに招かれる。そこには国家の経済や政治に大きな影響力を持つ貴族・レミントン一家が住んでいた。美貌の長兄・アーサーや、闊達な次兄・ディヴらアリスの家族と交流を深めるリセ。折しもその近くでは、首と胴体が切断された遺体が見つかり「祭壇殺人事件」と名付けられた謎めいた事件が起きていた。このパーティで屋敷の主、オズワルドが一族に伝わる秘宝を披露するのでは、とまことしやかに招待客が囁く中、悲劇が訪れる。屋敷の敷地内で、真っ二つに切られた人間の死体が見つかったのだ。さながら、あの凄惨な事件をなぞらえたかのごとく。






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Mr&Mrsスミス的な展開だ【劇場版 「奥様は、取り扱い注意」】 [映画にドロップキック!!]


劇場版「奥様は、取り扱い注意」DVD 通常版

劇場版「奥様は、取り扱い注意」DVD 通常版

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2021/08/18
  • メディア: DVD

■ヒトコト感想
連続ドラマは見ていない。ただ、なんとなく設定はわかっていたので十分楽しめた。凄腕工作員である菜美が記憶を失ってしまう。夫の勇輝は菜美を監視するため、教師のふりをして菜美と生活する。本作のポイントは菜美がいつ記憶を取り戻すかにかかっている。エネルギー問題の政治的なゴタゴタに巻き込まれる勇輝。そこに菜美も巻き込まれ、チンピラに襲われたりもする。

いくら記憶を失っているとはいえ、元凄腕工作員の技が身についているため、あっさりとチンピラを返り討ちにしてしまう。本来の連続ドラマはもっとコメディチックな物語だったのだろう。シリアスな展開が続き、菜美が記憶を取り戻し勇輝は菜美を銃で撃たなければならない状況となる。。。「Mr&Mrsスミス」的な雰囲気だと感じた。

■ストーリー
元特殊工作員だった過去を持つ専業主婦・伊佐山菜美(綾瀬はるか)と、実は現役の公安警察であり菜美を監視する優しい夫・伊佐山勇輝(西島秀俊)の二人は、桜井久実と裕司に名前を変えて、小さな地方都市・珠海市で新しい生活を始めていた。実は半年前、ある出来事がきっかけで菜美は記憶喪失になっていたのだった―。「過去なんて捨てて、あなたとの今を大事にして生きていく」二人が新生活を送る珠海市は、新エネルギー源「メタンハイドレート」の発掘に活気づいていたが、美しい海を守ろうとする開発反対派と、市長をはじめとする推進派の争いが日に日に激化。


実は新エネルギー源開発の裏で、ロシアと結託した国家レベルの陰謀が潜んでいることを突き止めた公安。「公安の協力者にならなければあの女を殺せ」信じるか、疑うか。逃がすか、拘束するか―― 。葛藤する裕司(勇輝)。菜美の記憶の回復は、愛し合う二人の別れ(死)を意味する。そんな中、過去の因縁と国家に追われ、久実(菜美)は大きな事件へと巻き込まれてゆく―。






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弱小サッカークラブの悲哀【ホペイロの憂鬱】 [映画にドロップキック!!]


ホペイロの憂鬱 [DVD]

ホペイロの憂鬱 [DVD]

  • 出版社/メーカー: リバプール
  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: DVD

■ヒトコト感想
ホペイロという馴染みのない単語が登場するのだが、サッカーチームの用具係のことらしい。J3の弱小サッカークラブの用具係が主人公の本作。チームはJ2へ上がれるかも、という状況にある。資金繰りが厳しく人件費削減が必要。となるとホペイロはクビのターゲットとされてしまう。

ホペイロがどの程度チームにとって重要なのかが、描かれているようで描かれていない。どちらかというと、弱小サッカーチームの悲哀が描かれている。大口スポンサーのおばさんに対して選手や社長たちがヘコヘコする。元スター選手が所属しているが怪我を隠しながらプレイしている。このままJ2に上がったとしても親会社が代わるので広報やホペイロはクビになる可能性が高いなどなど。厳しい状況が描かれている。

■ストーリー
弱小プロサッカーチームの奮闘を、裏方であるホペイロ(用具係)の視点で描いた井上尚登の同名小説を実写化。不振が続くJ3のサッカークラブ。ホペイロの坂上は、チームがJ2に昇格できなければ解雇だと告げられ…。






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コロナ渦での複雑な事件【パラダイス・ガーデンの喪失】 [書籍にドロップキック!!]


パラダイス・ガーデンの喪失

パラダイス・ガーデンの喪失

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2021/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

■ヒトコト感想
葉崎市シリーズ。個人庭園で身元不明の老女の死体が発見された。パラダイスガーデンを語った老人ホームの詐欺や、子供の誘拐事件など複数の出来事が絡み合う事件だ。メインは誰というのはなく複数の人物視点で語られている。強烈なのは、パラダイスガーデンのオーナーである房子視点だ。自分が作り上げた庭がいつのまにか詐欺の材料として使われる。

知らないうちに老人ホームの建設予定地にされ、そうとは知らない老人たちから様々な問い合わせとクレームが入る。事件にも巻き込まれ、さんざんな目にあったことは間違いない。おばさん刑事が事件に対応し、自己保身に必死な管理官などとのやりとりが秀逸だ。登場人物が多すぎて混乱する可能性すらある。

■ストーリー
2020年秋、葉崎市の崖の上にある個人庭園〈パラダイス・ガーデン〉で、身元不明の老女の自殺死体が発見された。庭園のオーナー・兵藤房子は自殺幇助を疑われ、事件をきっかけにそれぞれの人物が抱える綻びが連鎖しはじめ、葉崎市に隠されていた謎がモザイクのように浮かび上がっていく……。総勢15名以上の住民の物語が交錯するパッチワークのようなミステリー。






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少年のキラキラした目にやられる親父たち【ウォルター少年と、夏の休日】 [映画にドロップキック!!]


ウォルター少年と、夏の休日 [DVD]

ウォルター少年と、夏の休日 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2017/12/16
  • メディア: DVD

■ヒトコト感想
ハーレイジョエルオスメントくんが演じるウォルターが良い。田舎の家にのんびり暮らす頑固なおやじふたり。ウォルターの親戚にあたり、大金を隠しもっているということで母親からおじさんの家に送り込まれるウォルター。まず、ウォルターの母親がクズだ。

ウォルターには学校に入学するからと理由をつけ育児放棄する。ある意味捨てられた形のウォルターが、頑固おやじたちの過去の冒険物語を聞きながら田舎でのびのび夏休みを過ごす。おなじく遺産を狙う別の親戚家族がしょっちゅうやってくるのだが…。おやじたちからしても、純粋なウォルターとの生活は楽しいのだろう。おやじたちの夢のような冒険物語がメインなのは間違いない。

■ストーリー
父親のいないウォルターは、夏休みの間だけ田舎の家に預けられる。そこはテレビもなく、友達もいない、広い大地とたくさんの動物たち、無愛想で頑固者のおじいさん二人がいる家があるだけだった。ある晩ウォルターは、屋根裏で古い女性の写真を見つける。それがきっかけで、ウォルターは夢のような冒険に乗り出してゆく。驚いたことにその冒険は、おじいさんたちの謎めいた過去にもつながっていた…!






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作者は厄介な人物だ【少女を埋める】 [書籍にドロップキック!!]


少女を埋める (文春e-book)

少女を埋める (文春e-book)

  • 作者: 桜庭 一樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2022/01/25
  • メディア: Kindle版

■ヒトコト感想
作者の私小説だ。最初読み進める中で、主人公の冬子は作者のようではあるが、フィクションなのだろうと思っていた。かなり自分の母親に辛辣な思いをつづる場面が多々あり、実の母親の秘密を暴露するような印象をもった。それが次の「キメラ」で、実はすべてが事実で批評家とのトラブルが書かれていた。

こんなトラブルがあったのは知らなかった。そして、作者が執拗に主張するあらすじと批評家の想像は分けて書くべきというのがあるのだが…。根底にあるのは、田舎で母親が周りからいわれのない誹謗中傷を受けることを危惧してのようだが…。例え批評家が正しく訂正したとしても、田舎の母親が肩身の狭い思いをするのは変わらないのだろうと思われた。

■ストーリー
2021年2月、7年ぶりに声を聞く母からの電話で父の危篤を知らされた小説家の「わたし」は、最期を看取るために、コロナ禍下の鳥取に帰省する。なぜ、わたしの家族は解体したのだろうか?――長年のわだかまりを抱えながら母を支えて父を弔う日々を通じて、わたしは母と父のあいだに確実にあった愛情に初めて気づく。しかし、故郷には長くは留まれない。そう、ここは「りこうに生まれてしまった」少女にとっては、複雑で難しい、因習的な不文律に縛られた土地だ。異端分子として、何度地中に埋められようとしても、理屈と正論を命綱になんとかして穴から這い上がり続けた少女は東京に逃れ、そこで小説家になったのだ――。






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NASAでの黒人差別と女性差別の歴史【ドリーム】 [映画にドロップキック!!]


ドリーム [Blu-ray]

ドリーム [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2018/07/04
  • メディア: Blu-ray

■ヒトコト感想
宇宙へ挑戦するNASAで、3人の黒人女性の活躍があったらしい。実話をもとにした本作。女性の地位、黒人の差別、それらの待遇を変えるために奮闘した女性を描いている。定番的流れではあるが、NASAでは女性の地位自体が低い。女性の技術者はいない。そんな中で黒人であるキャサリンが配属されるのだが…。ロシアと宇宙開発競争を繰り広げているNASAは、ロシアに先に行かれているため焦っている。

そこで実力のあるキャサリンが入ってきたことで女性の地位、そして黒人の差別もなくなっていく。序盤ではこれでもかと差別されるキャサリンたちが描かれている。NASAの技術部の本部長は実力主義で効率を妨げる差別は撤廃しようとする。予想できる流れではあるが感動する。

■ストーリー
1961年、アメリカはソ連との熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない“計算”を行う優秀な黒人女性たちのグループがあった。そのひとり、天才的な数学者キャサリンは宇宙特別研究本部のメンバーに配属されるが、そこは白人男性ばかりの職場で劣悪な環境だった。仲の良い同僚で、管理職への昇進を願うドロシー、エンジニアを目指すメアリーも、理不尽な障害にキャリアアップを阻まれていた。それでも仕事と家庭を両立させ夢を追い続けた3人は、国家的な一大プロジェクトに貢献するため自らの手で新たな扉を開いていくのだった……。






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