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村上春樹が父親を語る 【猫を棄てる 父親について語るとき】 [書籍にドロップキック!!]


猫を棄てる 父親について語るとき

猫を棄てる 父親について語るとき

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/04/23
  • メディア: 単行本

■ヒトコト感想
村上春樹が父親について語る。父親との交流で得た情報を元に、正確な情報を調査して父親の物語とする。冒頭、幼少期の作者が父親と共に猫を棄てにいく場面から始まる。そこで棄てたはずの猫が、いつの間にか家に戻っていた下りがある。そこから父親がどのような人生を過ごしてきたのかが語られる。

作者の父親は世代的に戦争をモロに経験した世代なので、兵士として招集されたにも関わらず生き残れたことは幸運なのだろう。京都大学の学生であり、戦争も経験し、祖父の寺を継ぐかどうかなど、作者がその当時の父親の心境を想像しながら語る。自分の父親について語るのは独特なのかもしれない。自分が父親の期待に応えられなかったなど作者なりの父親に対する思いが興味深い。

■ストーリー
時が忘れさせるものがあり、そして時が呼び起こすものがある。ある夏の日、僕は父親と一緒に猫を海岸に棄てに行った。歴史は過去のものではない。このことはいつか書かなくてはと、長いあいだ思っていた。―村上文学のあるルーツ。






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